矯正治療において、ブラケットの種類選びは治療の進行や精度に大きく関わります。
その中でも、第一大臼歯(6番)に使用される特殊なブラケットとして知られているのが「コンバーティブルタイプ」です。
今回は、コンバーティブルタイプの構造・使い方・メリットについて解説します。
コンバーティブルタイプとは?
コンバーティブルタイプとは、6番に主に使用されるブラケットの一種で、治療の進行状況に応じて形態を変えて使用できるブラケットです。
・通常時は「チューブタイプ」(7番用として用いられることが多い)として使用される
・キャップ(頬側のフタ)を取り外すと、「通常のブラケット」(5番までに使用されるブラケット)のように機能する
コンバーティブルタイプは、ワイヤーの通し方や力のかけ方を変更したい場合に、1つの装置で対応可能なのが最大の特徴です。
チューブタイプとの違いとは?
矯正治療で使用されるチューブタイプ(主に7番に使用)との比較で見ると、その違いが明確になります。
種類 | 構造 | 主な使用歯 | 特徴 |
---|---|---|---|
チューブタイプ | 筒状の構造でワイヤーを通す | 7番 | ・強固な支持力 ・結紮不要 |
コンバーティブルタイプ | チューブ構造+取り外せるキャップ | 6番 | ・初期はチューブ ・途中で結紮タイプにも変更可能 |
コンバーティブルタイプは、キャップを外し頬側からワイヤーを押し込んで結紮するなど、1〜5番のブラケットのような使い方もできるのが大きな違いです。
コンバーティブルタイプのメリット

矯正治療中は、症例によって力のかけ方やワイヤーに曲げを入れる場面が出てきます。
ワイヤーを曲げると、チューブタイプのブラケットには通せなくなります。
- 柔軟な対応が可能
最初はチューブ構造で使用し、後にキャップを外して微調整などのアプローチに活用 - 1個のブラケットで2通りの使い方
装置の交換なしで治療段階に応じた対応が可能
とくにワイヤーのベンドやループの応用が必要な場面で効果を発揮します。
キャップを外すには専用のプライヤーが必要!
キャップは簡単には外れないようになっており、専用の「キャップリムービングプライヤー」を用いて取り外すのが一般的です。
【キャップリムービングプライヤーを用いる理由】
・安全に除去できる
・ブラケット自体を壊さず外せる
今後のテーマ:キャップを外すタイミングとは?
関連記事「キャップを外すタイミング」では、「実際にどのタイミングでキャップを外すのか?」を詳しく解説予定です。
- どんな歯列不正のとき?
- ワイヤーがどう干渉する?
- ベンドやリトラクションとの関係は?
など、臨床での判断ポイントを交えながら、実践的な内容をお届けします!
これまでにもブラケットに関する基礎知識やスペースクローズのテクニックなどを解説してきましたので、下記の関連記事も合わせてお読みください。


まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
装置名 | コンバーティブルタイプ |
使用部位 | 主に6番(第一大臼歯) |
特徴 | チューブ+キャップ式で、取り外すと通常ブラケットのように機能 |
メリット | 治療進行に応じて使い分け可能。チェアタイム短縮や柔軟な対応が可能 |
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今後も技術を磨きながら、より良い矯正治療を実践していきましょう!
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