ワイヤー矯正において、ブラケットのスロットサイズは、治療の進め方やワイヤー選択に大きな影響を与えます。
とくに、.018スロットと.022スロットの違いは、治療結果にも直結する重要なポイントです。
この記事ではスロットサイズの基本から、それぞれの特徴、メリット・デメリット、そして適切な選び方までを詳しく解説します。
矯正歯科医を目指す方や、現在勉強中の方にとって、実践的な知識を得られる内容となっているので、参考にしてください。
基本を解説!スロットサイズとは?

スロットサイズとは、ブラケットに通すワイヤーの溝のサイズを指し、.018スロットサイズと.022スロットサイズの2種類が一般的です。
スロットの概要については、以下の記事も参考になります。

適したスロットサイズが選べると、患者さんの状態に合わせた効果的な矯正治療が可能です。
それぞれのサイズには異なる特徴やメリット・デメリットがあるので、治療方針や症例に応じた選択をしましょう。
.018スロットサイズの特徴

.018スロットサイズは、比較的細いワイヤーを使用するタイプのブラケットです。
優しい力で治療を進めたい場合に適しています。
.018スロットサイズのメリット
.018スロットサイズには、以下のようなメリットがあります。
- 細いワイヤーでもブラケットの特性を活かせる
- 強すぎない矯正力で、咬合力が弱い症例に適している
- 歯根吸収のリスクを抑えやすい
- ワイヤーサイズの選択肢が少ないため、必要なワイヤーの種類を減らせる
このスロットサイズは、優しい力で歯を動かしたい場合に有効です。
また、ワイヤーの選択肢が限られてるため、矯正治療を始めたばかりのドクターにとっては導入しやすい選択肢です。
.018スロットサイズのデメリット
一方で、.018スロットサイズには次のようなデメリットも存在します。
- Deep Bite(過蓋咬合)の改善が比較的難しい
- 太いワイヤーが使用できないため、歯のコントロールに制限がある
このスロットサイズは、強い力を必要とする治療や、歯の位置を精密にコントロールしたい場合には不向きな場合があります。
とくにDeep Bite(過蓋咬合)の改善が必要な症例では少し苦労します。
.022スロットサイズの特徴

.022スロットサイズは、より太いワイヤーを使用できるタイプのブラケットです。
強いコントロール力が必要な症例に適しています。
.022スロットサイズのメリット
.022スロットサイズの主なメリットは以下の通りです。
- ワイヤーサイズの選択肢が多く、症例に応じた柔軟な対応が可能
- Deep Bite(過蓋咬合)の改善がしやすい
- 治療の最終段階で強いワイヤーを使用し、歯の位置をしっかりコントロールできる
このスロットサイズは、治療の各段階で最適なワイヤーを使用できる柔軟性が魅力です。
また、強いコントロール力が必要な症例や、複雑な歯列の矯正にも対応可能です。
.022スロットサイズのデメリット
.022スロットサイズにもデメリットがあります。
- ブラケットの特性を活かすために太いワイヤーが必要
- 強すぎる矯正力になる場合があるので、調整が必要
- フルサイズのワイヤーに到達するまでに時間がかかることがある
矯正力が強くなりすぎると歯根吸収のリスクが高まるので注意しましょう。
また治療初期は細いワイヤーから始める必要があり、フルサイズのワイヤーを使うまでの時間が長くかかる場合もあります。
スロットサイズの選び方

スロットサイズの選び方を下記表にまとめました。
選び方のポイント | .018スロットサイズ | .022スロットサイズ |
---|---|---|
優しい力で治療を進めたい | ◯適している | ×不向き |
強いコントロール力が必要 | ×制限がある | ◯最適な選択肢 |
Deep Bite(過蓋咬合)の改善が必要 | ×改善が難しい | ◯改善がしやすい |
ワイヤーの種類を増やしたい | ×比較的細いワイヤーのみ | ◯細いワイヤーから太いワイヤーまで対応 |
治療のフローをシンプルにしたい | ◯ワイヤー選択が容易で治療がシンプル | ×太いワイヤーに到達するまで時間がかかる |
矯正治療では、治療ステージや患者さんのニーズに合わせてスロットサイズを選ぶスキルが重要です。
表を参考にスロットサイズの違いを理解し、精度の高い矯正治療を目指しましょう。
まとめ
ブラケットのスロットサイズには、.018と.022の2種類があり、それぞれに異なる特徴やメリット・デメリットがあります。
- .018スロットサイズ:優しい力で治療を進めたい症例向き
- .022スロットサイズ:強いコントロール力が必要な症例向き
症例に応じて適切なスロットサイズを選択し、より効果的な矯正治療を行いましょう!
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