最近、SNSやネット広告で「最短3〜6ヶ月」「30万円以下」といった格安マウスピース矯正の宣伝をよく見かけるようになりました。
通常100万円ほどかかる矯正治療が破格の値段で提供されているため、興味を持つことも多いでしょう。
しかし、格安の歯科矯正はあなたに該当する治療法なのでしょうか?
この記事では、格安矯正の特徴やリスク、気をつけるべきポイントについて詳しく解説します。
格安矯正のリスクとは?

「格安矯正」と聞くと、費用の負担が少なく、手軽に歯並びを整えられるイメージを持つかもしれません。
しかし、実際には注意すべき点も多く、安さの裏に思わぬリスクが潜んでいることもあります。
ここでは、格安矯正を検討する前に知っておきたい代表的なリスクを3つ紹介します。
リスク1:完治しない治療プランになっていることも
格安矯正の多くは、「部分矯正」と呼ばれる限定的な治療に該当することが多いです。
部分矯正は、特定の歯の並びを改善する方法であり、軽度の歯の凸凹には適していますが、実際には適応する人は多くはありません。
どこまで治したいかのゴールは人それぞれなのですが、マウスピースの枚数などの制限があるため、
・適応症例でないのに治ると思って部分矯正で進めてしまう
・十分に歯が動かせず、噛み合わせのバランスが崩れる
・治療後も歯並びが完全には治らない
といった問題が発生する可能性があります。
そのため治療計画が自分に合ったものであるかを、事前によく確認することが重要です。
リスク2:追加費用がかかり、結果的に高額になることも
格安矯正の中には、基本料金を安く設定し、必要な処置をオプション扱いにするケースも少なくないようです。
例えば、
- リテーナー(保定装置)が別料金
- マウスピースの追加作成が必要だが別料金
その結果、最初に提示された金額よりも費用がかさみ、最終的に通常の矯正治療と同程度の金額になることもあります。
追加費用が発生するかどうか、矯正相談時に総額をしっかりと確認しましょう。
リスク3:治療の質が低い可能性
格安矯正の中には、治療の質を下げて費用を抑えている可能性があります。
・人件費を抑えるために経験の浅い歯科医が担当する
・パターン化した治療計画で個々の症例に最適になっていない
・来院不要にすることで診療場所などのコストを削減する
矯正治療は専門的な知識と経験が必要な分野であり、矯正に精通した歯科医師による管理が不可欠です。
注意すべきワード

格安矯正に関する広告には、一見魅力的に見える言葉が並んでいます。
しかし、その裏には注意すべきポイントが隠れていることもあります。
ここでは、特に誤解を招きやすいキーワードを3つ取り上げ、それぞれの意味や注意点を解説します。
安易に判断せず、正しい情報をもとに治療を選ぶための参考にしてください。
「最短3〜6ヶ月で完了!」
このような短期間での治療は、前歯の部分矯正に限られるケースがほとんどです。
骨に切り込みを入れて歯を動かしやすくする治療法などもありますが、広告で出るようなワードの意味としては、部分矯正に該当することが多いと思われます。
また、「マウスピース矯正を希望して受診したのに、セラミック矯正を勧められた」という事例もあるようです。
セラミック矯正(歯を削って被せものをする治療法)は短期間で見た目が綺麗になりますが、歯を多く削る必要があり、将来的な制約も多いです。
・20-30代の若い方
・被せ物をしていない健康な歯の方
これらに該当する場合は、セラミック矯正に関しては特に注意して慎重に判断しましょう。
「月々数千円〜矯正できる」
矯正治療の多くは保険適応外の自費診療になります。
そのため、高額な治療費をローンを組んで支払う方も少なくありません。
月々数千円〜になっている場合の多くは、治療費が安価な部分矯正か、返済期間が長く設定されている可能性があります。
「来院不要!」
自宅での交換がメインのマウスピース矯正はとても便利なのですが、全く通院しないというわけにはいきません。
全ての矯正治療では、装置の適合状況や歯の動き方を適宜確認する必要があり、定期的な通院は不可欠です。
まとめ:特徴を知った上で判断!
格安マウスピース矯正は、費用の安さや短期間での治療が魅力的に見えます。
しかし、全ての方に適応する治療法ではないということをしっかり認識しましょう。
矯正治療は、見た目だけでなく噛み合わせや健康に関わる重要な治療です。
価格だけで選ばず、自分に最適な治療法を見つけることが大切です。
まずは矯正相談を行い、納得のいく説明が受けられたと感じる歯科医院で治療を行うことが満足度を高めることにつながると思います。
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