前回の記事では、6番に使用される「コンバーティブルタイプブラケット」の構造や特徴について解説しました。

今回はその続編として、「いつ・どんな時にキャップ(チューブ)を外すのか?」について解説します。
キャップを外すタイミングはいつ?
キャップを外す主な理由は、ワイヤーの形状や歯の位置関係によってチューブにワイヤーが通せない時です。
臨床現場で特によくある2つのケースを見てみましょう。
ケース①:6番と7番の間にベンドが入っている
治療が進むと、6番と7番の間にワイヤーにベンド(曲げ)が加えられることがあります。
この場合、ベンドによってワイヤーが6番のチューブを通せなくなります。
そのためキャップを外し、6番には頬側からワイヤーを結紮して装着する方法で対応します。
ケース②:6・7番が大きく頬舌的にずれている
臼歯部の頬舌的な歯のズレが大きいと、6番にワイヤーを通してから7番に通すことが難しい場合があります。
このときは、7番には通常通り通し、6番はキャップを外して結紮対応。
治療初期の、レベリング、アライメント時に必要なことが多いため、ブラケット装着前にキャップをとっておく場合もあります。
キャップを外した後の注意点

キャップを外すと6番ブラケットのワイヤー固定されていない状態なので、外した直後のフォローは欠かせません。
ここでは、キャップを外した後に必ず押さえておきたい注意点を整理します。
結紮は必須!
キャップを外した状態では、6番のブラケットにはワイヤーが通っていないため固定されません。
このままだとワイヤーが浮いてしまう可能性があるため、確実に結紮する必要があります。
カルテに記載を!
カルテには、「6番キャップ除去・結紮」など、処置内容を明記します。
チェアタイムがバタバタしていても、結紮のし忘れを防ぐために重要なステップです。
結紮のおすすめ方法
結紮はモジュールよりも、結紮線での固定がおすすめです。
比較項目 | モジュール | 結紮線 |
---|---|---|
固定力 | 普通 | 強固に固定可能 |
操作性 | 簡便 | 多少の技術は必要 |
適応 | 通常の固定に向く | ワイヤー浮きをしっかり防ぎたい時に◎ |
キャップを外した状態=ワイヤーに不安定さがある場面も多いため、確実な固定ができる結紮線の使用が望まれます。
まとめ:キャップを外す時に意識したいこと
項目 | 内容 |
---|---|
主な理由① | ベンドが入っていてチューブを通せない |
主な理由② | 臼歯の頬舌的位置がずれていてワイヤーが届かない |
処置後の注意 | キャップを外した後は必ず結紮! |
推奨方法 | モジュールよりも結紮線での固定が安心 |
カルテ記載 | 「キャップ除去・結紮」と明記を忘れずに |
現場で迷わないために、「使いどき」と「外すタイミング」の理解は必須です!
引き続き、治療精度を高めるための基礎知識をお届けします。
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今後も技術を磨きながら、より良い矯正治療を実践していきましょう!
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