「短期間で歯並びをきれいに整えたい」
「ワイヤーをつけるのはちょっと抵抗がある…」
「歯の色や形も一緒に改善できたら嬉しい」
そんな声から人気を集めているのが「セラミック矯正」です。
セラミック矯正は美容目的で注目される一方、だれにでもすすめられる治療ではありません。
今回はセラミック矯正のメリット・デメリットを分かりやすくご紹介しながら、後悔しない選択のために知っておいてほしいことをお伝えします。
セラミック矯正とは?普通の矯正との違い
セラミック矯正とは、歯を削ってセラミック製の被せ物を装着し、歯並びと色・形を短期間で整える治療法です。
セラミック矯正と、一般的な矯正治療には大きな違いがあります。
矯正の種類 | 特徴 | 歯を動かす? | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
一般的な矯正 | ワイヤーやマウスピースで歯を少しずつ動かす | 動かす | 歯に優しい | 治療期間が長め |
セラミック矯正 | 歯を削ってセラミックの被せ物で形を整える | 動かさない | 見た目が早く整う 一般的な矯正がしづらくなる | 歯を多く削る必要がある |
「セラミック矯正」という言葉には“矯正”とついていますが、本来は歯並びを根本から治す「矯正治療」とは異なり、虫歯治療などの延長線上にある「被せ物治療」のひとつです。
セラミック矯正の魅力(メリット)

まずは、セラミック矯正の良い面を4つご紹介します。
治療期間が短い
矯正装置で歯を動かす治療は半年〜数年かかりますが、セラミック矯正は最短で数週間〜1ヶ月程度で完了することもあります。
そのため結婚式や就職など、イベントを控えている方には嬉しいポイントです。
治療費を抑えられることも
セラミック矯正は本数や内容によりますが、1本あたり数万円から対応可能な場合もあります。
被せ物をする本数が少ない場合、全体矯正より費用が安くなることもあります。
ワイヤーやマウスピースが不要
セラミック矯正はワイヤーやマウスピースが不要です。
「見た目が気になる」「装置の違和感が苦手」という方には、被せ物のみで治療が完了するセラミック矯正は選択肢の一つになるかもしれません。
歯の色や形も一緒に整えられる
白くて美しいセラミックを使うため、歯の色や形の悩みも一度に解消できます。
セラミック矯正の注意点(デメリット)
一方で、セラミック矯正には見過ごせないデメリットもあります。
健康な歯を削る必要がある
セラミックをかぶせるには、天然の歯を削る必要があります。
削った歯は元に戻すことができず、場合によっては神経を取る処置も必要になることも。
神経のない歯はもろくなり、将来的に破折や抜歯のリスクが高まります。
虫歯や歯周病のリスクが上がることも
セラミック矯正では、被せ物と天然歯の境目にわずかな段差ができる場合があります。
段差部分は汚れがたまりやすくなり、虫歯や歯周病のリスクが上がる可能性もあります。
定期的な再治療が必要になることがある
セラミックは永遠に使えるわけではありません。
10〜20年後には再治療や交換が必要になることもあり、その際には再び高額な費用がかかることもあります。
その後の矯正治療に影響が出ることも
セラミック矯正のあとに「やっぱり歯並びを根本から治したい」と思っても、矯正治療ができないことがあります。
- 歯が多く削られている
- 無理な角度で被せ物が入っている
- 神経がなくなっている
このような場合は、矯正治療に制限が出るケースがあります。
セラミック矯正と一般矯正|向いているのはどっち?
セラミック矯正と一般矯正のどちらが自分に合っているのか?
ここでは、自分に合った選択肢を見つけやすくするためのヒントをお伝えします。
セラミック矯正が向いている人 | 一般矯正が向いている人 |
---|---|
できるだけ早く見た目を整えたい人 | 歯を根本から動かして整えたい人 |
装置をつけたくない人 | 歯の健康を優先したい人 |
神経がすでにない歯がある人 | 健康な歯をなるべく削りたくない人 |
大切なのは「納得して選ぶこと」

セラミック矯正を否定するわけではありません。
セラミック矯正は、「期間や見た目を重視したい」「すでに神経がない歯が対象」など、状況によっては良い選択肢になり得る治療です。
虫歯などで歯が小さくなり、歯の色や形を整えたい場合に、保険診療ではなくより見た目や耐久性に優れたセラミックの被せ物を使うという選択は、審美的にも機能的にもとても良い治療法のひとつです。
しかし、健康な歯を削るときは、取り返しのつかないリスクがあることも事実。
「歯並びをきれいにしたいから」という理由だけで、最初にセラミック矯正を選ぶのは少し注意が必要です。
本来は、日々のクリーニングや虫歯治療などを通じて信頼できる歯科医師と出会い、治療の必要性を理解したうえで“被せ物をどうするか”という判断をするのが自然な流れです。
大切なのは、「歯並びを整える」という目的のために、本当にその方法が自分にとってベストかどうかを一度立ち止まって考えてみること。
「治療前にきちんと説明を受けて、納得した上で選ぶ」ようにしてください。
健康な歯を大切にしながら、後悔のない選択をしていきましょう。
まとめ:まずは、信頼できる先生に相談を
きれいな歯を手に入れたい、その気持ちはとても自然なことです。
しかし、“短期間できれいになれる”には、代償があるかもしれないということも知っておいてほしいと思います。
歯並びが気になったら、矯正専門医や、歯並びとお口全体の健康をトータルで診てくれる先生に、まずは相談してみてください。
セラミック矯正が向いているケースなのか、それとも他の選択肢のほうが長い目で見て安心なのか、一緒に考えてくれるはずです。
一生使う大切な歯だからこそ、未来の自分が後悔しない選択をしていきましょう。
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