矯正治療の中で「ネジを使うことがある」と聞いたことはありますか?
「ネジって痛そう…」「なんだか怖い…」そう感じる方も少なくありません。
しかし実は、矯正用のネジ(アンカースクリュー)は、より理想的な仕上がりを目指すために使われる、とても有効な装置です。
この記事では、アンカースクリューの基本からメリット・注意点まで、わかりやすく解説していきます。
アンカースクリューとは?
アンカースクリューとは矯正用の小さなネジで、歯ぐきの下の骨(あごの骨)に一時的に埋め込み、歯を動かすための“固定源”として使われます。
・ミニスクリュー
・TAD(Temporary Anchorage Device)
とも呼ばれることもあります。
通常の矯正治療では、歯と歯を引っ張り合う力で歯並びを整えていきますが、アンカースクリューを使うと、他の歯に負担をかけず、狙った歯だけを効率よく動かせます。
どんなときに使うの?

以下のようなケースで、アンカースクリューは特に効果を発揮します
- 前歯をしっかり引っ込めたい(出っ歯の改善)
- 奥歯を後方へ動かしたい
- ガミースマイル(歯ぐきが目立つ笑顔)を改善したい
- 歯の動き方を細かくコントロールしたい
特に大人の矯正では、成長による骨の変化を利用できないため、アンカースクリューによる“人工の支点”が非常に有効です。
昔はヘッドギアが主流だった
アンカースクリューが普及する以前は、「ヘッドギア」という装置が使われていました。
ヘッドギアの特徴は次の通りです。
・主に奥歯が前に出てこないように支えるための装置
・日中、夜間の装着が必要
・効果は患者さんの協力度に左右されやすい
一方で、アンカースクリューは24時間固定されているため、より安定した力をかけ続けて、治療期間の短縮にもつながるのが大きなメリットです。
ネジって痛くないの?
「骨にネジを打つ」と聞くと不安になるかもしれませんが、実際の処置はとてもシンプル。
- 局所麻酔を使用 → 処置中の痛みはほぼなし
- 処置時間は10分程度
- 抜くときも簡単(麻酔不要なケースも)
また、よく混同される「インプラント(人工歯根)」とは違い、一時的な使用を前提とした小さなネジなので、体への負担も少ないのが特徴です。
アンカースクリューのメリット
アンカースクリューのメリットは次の3つです。
・他の歯に負担をかけず、狙った歯だけを動かせる
・治療期間の短縮が見込める
・難しい症例への対応がしやすくなる
「前歯を最大限下げたい」「ガミースマイルを改善したい」「大きくずれた噛み合わせをしっかり治したい」「治療期間を可能な限り短くしたい」などの希望がある人にとって、強い味方になる可能性がある治療です。
アンカースクリューの注意点・デメリット

もちろん、どんな治療にも注意点はあります。
アンカースクリューの注意点やデメリットを紹介します。
脱落の可能性
アンカースクリューは骨と結合しているわけではないため、脱落する場合があります。
脱落の可能性は、口の中の衛生状態や骨の硬さの影響を受けます。
再埋入が必要な場合も
外れてしまった場合は、別の位置に再度埋入することがあります。
感染のリスク
ネジの頭はお口の中に出ているため、しっかり清掃をしないと感染の原因になることもあります。
歯根を傷つけるリスク
ネジを歯の根の間に入れるため、位置がずれると歯根に触れてしまう可能性もあります。
そのため、多くの医院では処置後にレントゲンで確認を行います。
アンカースクリューの目安費用
矯正用アンカースクリューは、1本あたり2〜5万円前後(自費診療)で設定している医院が多いです。
必要な本数・位置・タイミングは、矯正全体の治療計画に応じて個別に決まります。
まとめ|「ネジ」は怖くない。あなたの味方です。
矯正用アンカースクリューは、ちょっと怖そうに思えるかもしれませんが、理想的な歯並びを叶えるための強力なサポーターです。
気になる方は、ぜひ歯科医院で聞いてみてください。
「この治療でアンカースクリューは使いますか?」「使うとどんなメリットがありますか?」
不安をそのままにせず、納得できる説明を受けてから治療を進めていきましょう。
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