ワイヤー矯正では、「結紮(けっさつ)」が重要な役割を果たします。
結紮の方法を理解し、適切に活用できると、治療の精度が向上します。
今回は、結紮の基本や必要な場面、矯正治療における重要性について詳しく解説していきましょう!
結紮(けっさつ)とは?

結紮とはワイヤー矯正において、細いワイヤー(結紮線)を使ってブラケットとワイヤーを固定する作業のことです。
ブラケットとワイヤーをしっかりと固定することで、ワイヤーが歯に適切な力を加えられるようになります。
結紮の仕方によって矯正力の伝わり方が変わるため、適切な方法を選ぶことが重要です。
結紮の方法

結紮には主に3つの方法があり、それぞれの特徴を紹介します。
どの方法を選ぶかは、治療計画や患者さんの歯並びの状態によって異なります。
すべてのブラケットを結紮する方法
ブラケットごとにワイヤーをしっかり固定する方法です。
コントロールが必要な症例に向いています。
基本はモジュールで固定し、必要な部分だけ結紮する方法
通常はモジュール(ゴムリング)でブラケットとワイヤーを固定し、スロットに収まっていない部分のみ結紮して調整する方法です。
シャッターやキャップタイプを使用し、特定の部分だけ結紮する方法
一部のセルフライゲーションブラケットでは、スロットを閉じる構造になっているため、結紮が必要な部分のみ施すことがあります。
結紮が必要なケース
結紮が特に有効な場面として、以下のようなケースが挙げられます。
・ワイヤーがスロットから浮いている部分
ワイヤーがしっかりとスロット内に収まっていない場合、適切な矯正力がかからないため、結紮で固定します。
・捻転歯(ねじれた歯)
歯が大きくねじれている場合、結紮によってワイヤーによる力を強化することで、捻転を改善しやすくなります。
・Space Close(空隙閉鎖)中の抜歯スペース前後の歯
抜歯スペースの前後の歯はスペースクローズの力によって動きやすい(特に捻転しやすい)ため、結紮をして反作用に対する予防を行います。
これらのケースでは、結紮が治療の正確性を高め、スムーズな歯の移動を促す役割を果たします。
スタッフ間のやり取りと記録の重要性

結紮が必要なケースでは、スタッフ同士の連携も大切です。
「この部分は結紮が必要」ということをスタッフ間で共通認識しておくと、治療がスムーズに進められます。
またカルテには結紮の有無を記録し、いつから結紮しているのかなどが確認できるようにしておきましょう。
適切な記録と情報共有が、矯正治療の質を高めるポイントです。
矯正を学ぶドクターへ!
結紮は、ワイヤー矯正の効果を最大限に引き出すために欠かせないスキルです。
結紮が苦手だと、
・診療時間が長くなる
・ ワイヤーが正しく歯に力をかけられない
という問題が発生します。
結紮の技術向上のためには、まず模型で練習し、手際よく行えるようにしましょう!
結紮のスムーズな処置が、患者さんの治療の快適さにもつながります。
まとめ
ワイヤー矯正における結紮の基本について解説しました。
・結紮はワイヤーとブラケットを固定し、適切な矯正力を伝えるために重要
・症例によって結紮の方法を使い分けることが大切
・適切な結紮が、矯正治療のスムーズな進行に貢献する
結紮の技術を向上させるには、まずは熟練者の技術を観察し、真似しながら実践を重ねることが重要です。
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