「歯並びを良くしたいだけなのに、どうして健康な歯を抜くの?」矯正を考え始めたとき、多くの人がぶつかる疑問です。
実は、矯正治療の中ではあえて健康な永久歯を抜いて治療を進めるケースがよくあります。
この記事では、「なぜ抜歯が必要になるのか」「どんな場合に抜歯するのか」「抜かない方法はないのか」などをわかりやすく解説します。
そもそも、なぜ抜歯が必要なの?
矯正治療は「歯をきれいに並べて正しい噛み合わせを作る」ことが目的です。
ところが、歯の本数や大きさと、あごの大きさが合っていないと、そもそも並べるためのスペースが足りないという問題が起きます。
このとき、無理やり並べると…
- 前歯が前に出すぎて口元がモコっとする
- 噛み合わせが不安定になる
- 歯が骨から出てしまう
- 将来の後戻り(歯がまたズレる)が起きやすくなる
といったリスクがあります。
そのため抜歯をして「スペース」をつくり、無理なくバランスのとれた歯並びに導いていくのです。
抜歯が必要になる主なケース
抜歯が必要かどうかは、歯の大きさ・位置関係、あごの容量、そして仕上がりのバランスを総合的に判断して決まります。
ここでは、矯正医が「スペース確保や見た目・機能の改善のために抜歯を検討する」代表的なケースを4つ紹介し、それぞれの背景を簡単に解説します。
① あごが小さく、歯が並ぶ隙間が足りない
歯が大きいのに、あごのスペースが足りないと「でこぼこ」になりやすいです。
このような場合、抜歯をして並べるスペースを確保します。
② 口元の突出感を改善したい
見た目の悩みとして「横顔が出っ張って見える」「口が閉じづらい」と相談される方もいらっしゃいます。
前歯を後ろに下げるためには、その分のスペースが必要なので抜歯を選ぶことがあります。
③ 出っ歯や受け口など、噛み合わせを大きく変える必要がある
奥歯や前歯の前後関係を大きく動かすとき、抜歯をして位置を調整します。
④ 親知らずが悪さをしている
親知らずが横向き・斜めに生えて、ほかの歯を押している場合は抜歯することがあります。
どの歯を抜くの?

矯正で抜くのは、噛み合わせに影響が少ない歯が選ばれます。
多くの場合、前から4番目の「第一小臼歯」や5番目の「第二小臼歯」です。
抜かずに治療できないの?
もちろん、すべての人が抜歯になるわけではありません。
- もともと隙間がある
- でこぼこが軽度
こういったケースでは、歯の側面を少し削ったり(IPR)、奥歯を後ろへ移動させたりする「非抜歯矯正」が選ばれることもあります。
ただし、無理な非抜歯治療をすると…
- 前歯が前に出すぎて横顔のバランスが崩れる
- 治療後の歯並びが不安定になる
などのリスクがあるため、診断をした上で慎重に選ぶ必要があります。
抜歯をするメリットとデメリット
まとめ|抜歯=悪いこと、ではありません
矯正治療で「抜歯が必要です」と言われると不安になりますよね。
しかし、抜歯をするのは「より健康で美しい歯並びにするため」の選択肢のひとつです。
歯科医はレントゲンやスキャンデータなどをもとに、口元のバランス・噛み合わせ・将来の安定性を考えて抜歯の有無を決めます。
その上で、歯科医と患者さんの間で治療のゴールを擦り合わせて決定していきます。
詳しい治療計画は矯正用の検査を受けた後で受けることになりますが、相談時でも大まかな治療計画や抜歯の有無の可能性などについては教えてもらえる場合も多いため、気になる方は矯正相談時に担当の先生に色々伺ってみてください。
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