2級ELS・3級ELSとは?顎間ゴム(エラスティック)の役割と使い方を解説!

矯正治療では、ワイヤーやアライナーだけで歯を動かすのではなく、ゴム(エラスティック)を補助的に使用し咬合や顎位の調整を行うことがあります。

その中でも頻繁に登場するのが「2級ELS(エラスティック)」「3級ELS(エラスティック)」です。

今回は、この2つの顎間ゴムの役割や使用法について詳しくご紹介します。

目次

顎間ゴム(エラスティック)とは?

矯正治療で使用されるエラスティック(elastic)は、主に上下の歯をつないで、咬み合わせや顎の位置を整えるための補助装置です。

・ゴムの牽引力を利用して、特定の歯や顎骨を誘導したり、アンカレッジの補助にする
・ワイヤー矯正・アライナー矯正のどちらでも使用される
・使用目的によって、「2級ELS」「3級ELS」「Up & Down」など呼び方が変わる

2級ELSと3級ELSの違い

項目2級ELS
(2級エラスティック/2ゴム)
3級ELS
(3級エラスティック/3ゴム)
ゴムのかけ方上顎前歯〜下顎臼歯下顎前歯〜上顎臼歯
主な目的・上顎前歯or臼歯を後方に引く
・下顎臼歯を前方に引く
・下顎前歯or臼歯を後方に引く
・上顎臼歯を前方に引く
適応症例・上顎前突(出っ歯)の改善
・臼歯関係2級傾向の改善
・下顎前突(受け口)の改善
・臼歯関係3級傾向の改善
イメージ上の歯が出ている → 奥へ引っ込める下の歯が出ている → 奥へ引っ込める

顎間ゴムの使用パターンと応用

顎間ゴムは、単に咬み合わせを治すだけでなく、歯の移動を補助したり、固定源を強化したりするためにも使われます。

ワイヤー矯正での使用

  • ブラケットに直接ゴムをかける
  • 必要に応じてフックをワイヤーやブラケットに設置してゴムをかける

アライナー矯正での使用

  • アライナーにフックを形成
  • ボタンカット部にボタンの設置
  • 歯の傾斜や位置の補正、咬合調整に応用

上下の前歯にかけて開咬を改善するなどの目的で使うゴムは「Up & Down(アップアンドダウン)」と呼ばれます。

ゴムの強さと選び方

エラスティックの牽引力は「直径」や「硬さ」「かける距離」で調整されます。

調整要素内容
ゴムのサイズ直径が小さいほど強く引っ張る力がかかる
ゴムの硬さ硬いほど強く引っ張る力がかかる
かける距離距離が長いとより強いゴムが必要になる

強ければ良いというわけではありません
過剰な力は歯根吸収や不適切な歯の動きにつながることもあります。
適正なゴムの選択と使用頻度が非常に重要です。

まとめ:2級ELS・3級ELSを使いこなそう

項目内容
2級ELS出っ歯(上顎前突)に対する治療補助
上前歯or臼歯を奥へ、下奥歯を手前へ
3級ELS受け口(下顎前突)に対する補助
下前歯or臼歯を奥へ、上奥歯を手前へ
使用可能装置ワイヤー矯正・アライナー矯正両方で使用可能
注意点ゴムの強さや装着時間は症例に合わせて調整が必要

矯正を学ぶドクター・衛生士の皆さんへ

2級・3級ELSは、矯正力の方向性を補強・修正するための「力の補助装置」です。

しっかりと意図を持って設計しないと、逆効果になる場合もあるため注意が必要です。

特に患者説明時には「ゴムの役割・効果・必要性」を丁寧に伝え、装着の継続が重要であることを納得してもらうことが治療成功のカギとなります。

ミノアカライブラリーを運営するMino’akaでは、矯正スタディグループMino’aka Ortho Academiaとして年4回の矯正勉強会を開催しています。

現役の矯正医や一般医が参加し、積極的に交流しながら実践的なレクチャーを行っています。

Instagramでも日々歯科矯正に関する情報を発信していますので、参考にしてください。

今後も技術を磨きながら、より良い矯正治療を実践していきましょう!

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